管理業務主任者(管業)とマンション管理士(マン管)は、試験日が近く、試験範囲が重なる部分が多いため、ダブル受験をする人が多い資格です。
実際、筆者も管業とマン管に加え、賃貸不動産経営管理士(賃管)のトリプル受験に挑戦しました。
不動産業界でのキャリアを広げたい方にとって、複数の資格を同時に取得することで、業務の幅が広がり、転職や昇進にも有利になります。
また、試験範囲の共通部分を活かして効率よく学べる点も、ダブル受験の大きなメリットです。
本記事では、両資格の試験概要や範囲の比較、効率的な勉強法などについて詳しく解説します!
この記事を書いてる人
✔海外在住20年以上
✔上海で旅行会社経営
✔海外在住中に宅建など資格取得
✔現在は日本で不動産業を兼務
✔日本帰国2年で4つの国家試験に合格
管理業務主任者とマンション管理士の違い
まずは管業とマン管の業務内容の違いをみていきましょう。
項目 | 管理業務主任者 | マンション管理士 |
---|---|---|
活用できる場面 | 管理会社での実務 (管理受託契約など) |
管理組合へのコンサルティング業務 |
資格の種類 | 業務独占資格 | 名称独占資格 (一部独占業務あり) |
主な業務内容 | 管理会社が管理組合から委託を受けた業務の遂行 (契約書作成、会計業務など) |
管理組合への助言・指導 (運営改善、長期修繕計画の提案など) |
どちらも国家資格ですが、管業はマンション管理会社を営業するうえで、会社に一人は必要となる必須資格です。
一方、マンション管理士は基本的に名称独占資格ですが、マンション管理適正化法に基づく「管理適正評価制度」において、一部独占業務を持つ資格でもあります。
この制度では、マンション管理士が管理組合に代わって適正評価の申請業務を担うことが可能です。
試験概要の比較
まず、管業とマン管の試験概要を比較してみましょう。
項目 | 管理業務主任者 | マンション管理士 |
---|---|---|
試験日 | 毎年12月第1日曜日 | 毎年11月最終日曜日 |
試験時間 | 2時間 | 2時間 |
問題数 | 50問 | 50問 |
合格率 | 約20% | 約13% |
勉強時間 | 300~500時間 | 500~700時間 |
主な出題形式 | 基本知識中心、実務的な問題 | 応用力を問う問題が多い |
表を見ると、マン管の方が合格率が低く、必要な勉強時間も多いことがわかります。
また、マン管では応用力が求められる問題が多く出題されるため、管業より難易度が高く、「管業の上位互換」ともいえる試験です。
そのため、管業で基礎をしっかり固めたうえで、マン管の試験に挑むのが効率的といえます。
試験範囲の重なる部分を徹底解説
管業とマン管は試験範囲が多く重なっていますが、出題内容には特徴的な違いもあります。以下は、試験範囲を比較した表です。
試験範囲 | 管業 | マン管 | コメント |
---|---|---|---|
区分所有法 | ◎ | ◎ | 両試験で中心的なテーマ |
標準管理規約 | ◎ | 〇 | 管業の方がより詳細に問われる |
民法 | ◎ | ◎ | 試験範囲がほぼ共通 |
建築・設備 | ◎ | ◎ | 具体的な知識を問われる範囲 |
管理委託契約書 | ◎ | △ | 管業で詳細に出題 |
会計 | ◎ | ◎ | 複式簿記の問題が2問 |
応用問題 | △ | ◎ | マン管特有の応用力を問う問題が特徴 |
管理業務主任者(管業)とマンション管理士(マン管)の試験は、共通する部分が多い一方で、それぞれ特徴的な違いがあります。
例えば、区分所有法や民法などの基礎知識は両試験で共通して出題されるため、これらを重点的に学習することで効率よく対策を進めることが可能です。
一方で、マン管では応用力が求められる問題が多く、特に建築や設備の分野では具体的な問題解決を想定した出題が特徴です。
管業で基礎を固めた後にマン管の応用問題に取り組む学習方法が効果的といえます。
また、両試験に共通して会計に関する問題も出題されるため、複式簿記の知識を早い段階で身につけておくと効率的です。
これらの違いを理解しながら学習を進めることで、両試験の特徴に対応した学習計画を立てることができます。
ダブル受験のメリット
試験範囲が重なり、知識が相互に補完される
管理業務主任者(管業)とマンション管理士(マン管)は、区分所有法や民法、標準管理規約など試験範囲の多くが共通しています。
このため、一方の試験で学んだ知識がもう一方の試験でも役立つという相乗効果が期待できます。
例えば、管業で学んだ建築や設備の基礎知識がマン管の応用問題で活きたり、マン管で培った深い理解が管業の実務的な問題に役立つ場面が多々あります。
こうした試験範囲の重複を活かすことで、時間を効率的に使いながら両試験の対策を進めることが可能です。
特に、基礎知識を繰り返し学ぶことで記憶が定着しやすくなり、結果として学習の質を向上させることにつながります。
片方だけでも合格すれば資格を得られる
ダブル受験の魅力の一つは、どちらか一方に合格すれば資格を取得できるという点です。
片方の試験に落ちても、学んだ内容がもう一方の試験に役立つため、努力が無駄になることはありません。
例えば、管業に合格すると、翌年のマン管試験では「マンション管理適正化法」の5問が免除されます。
この免除制度により、マン管の試験負担が軽減され、合格率の向上が期待できます。
特に「マンション管理適正化法」はマン管試験においても重要な科目であるため、この部分が免除になるのは非常に有利です。
このように、ダブル受験を通じて片方だけでも合格することで、次年度以降の試験準備がスムーズになり、効率的に資格取得を目指すことが可能です。
ダブル受験の注意点
試験日が近く、スケジュール管理が重要
管理業務主任者(管業)とマンション管理士(マン管)は、試験日が1週間しか離れておらず、連戦になることで体力と集中力が試されます。
特に直前期は「やることが多くて混乱する」「片方に集中しすぎてもう一方がおろそかになる」といったリスクが高まります。
これを避けるためには、共通範囲を効率よく復習し、試験ごとの特有範囲を明確にすることが重要です。
また、試験間の1週間は休息を計画に組み込み、疲労を回復させながら仕上げを進めることで集中力を維持できます。
直前期の混乱を防ぐには、早めの計画と優先順位の設定がカギとなります。
マン管の難易度が高い
マンション管理士(マン管)は合格率が約10%と低く、管理業務主任者(管業)に比べて難易度が高い試験です。
その理由の一つは、応用力を問われる問題が多いことです。
特に建築や設備の分野では、実務的な知識を活かした具体的な問題解決を想定した出題が特徴です。
また、マン管の試験が先にあるため、その難しさに面食らって疲労や自信喪失から管業まで影響を及ぼすリスクもあります。
ダブル受験に向けた勉強法
試験範囲の共通部分を優先して学ぶ
管理業務主任者(管業)とマンション管理士(マン管)は、区分所有法や民法、標準管理規約といった共通部分が多い試験です。
これらの共通範囲を最優先で学習することで、効率よく両試験の対策を進めることが可能です。
特に、両試験の出題傾向を確認しながら、重複部分を重点的に繰り返し復習することで、短期間で知識を定着させることができます。
マン管特有の応用問題は後回しにする
マン管は応用力を問う問題が多いため、まずは管業の基礎知識をしっかり固めることが重要です。
例えば、区分所有法や建築・設備の基礎的な知識を管業で習得した後、それを土台にマン管特有の応用問題に取り組む流れが効果的です。
初めからマン管の応用問題に取り組むと難しさに圧倒される可能性があるため、基礎を固めた上で段階的に進めましょう。
過去問を活用し、通信講座で補強する
両試験に共通して重要なのは、過去問を繰り返し解くことです。
過去問を解くことで出題傾向を把握し、効率的に知識を定着させることができます。
特に、管業とマン管の過去問を交互に解くことで、知識を相互に補完しながら進めることが可能です。
また、基礎の理解に不安がある場合や独学では行き詰まりを感じた場合は、通信講座を活用することも有効です。
通信講座では、共通部分を効率的に学ぶための解説動画やテキストが提供されており、応用力を養う問題演習も含まれています。
これにより、短期間で要点を押さえながら学習を進めることができます。
まとめ|ダブル受験は効率的に学べるチャンス
管業とマン管のダブル受験は、試験範囲が重なる部分を活かすことで効率的に学べる挑戦です。
ただし、両試験の特徴を理解し、バランスよく学習を進めることが成功の鍵となります。
ダブル受験を成功させるためには、試験範囲の共通部分をしっかり押さえつつ、それぞれの試験特有の対策を進めることが重要です。
隙間時間を活用し、過去問や通信講座を活用しながら、効率的な学習を心がけてください。