旅行業界でのキャリアアップを目指す人にとって、総合旅行業務取扱管理者試験は避けて通れない重要な国家資格です。
しかし、受験にはいくつかの選択肢があり、自分に最適な方法を選ぶことが合格への第一歩となります。
受験戦略を選ぶポイント
- 国内旅行業務取扱管理者試験を先に受験する
- 総合旅行業務取扱管理者試験を直接受験する
- 国内旅行業務取扱管理者試験と総合試験を同時に受験する
この記事では、この3つの受験戦略について、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。
どの方法が自分に合っているか、一緒に考えてみましょう。
この記事を書いてる人
✔海外在住20年以上
✔上海で旅行会社経営
✔海外在住中に宅建など資格取得
✔現在は日本で不動産業を兼務
✔日本帰国2年で4つの国家試験に合格
総合旅行業務と国内旅行業務取扱管理者の違い
総合旅行業務取扱管理者試験と国内旅行業務取扱管理者試験は、試験の範囲や形式が異なります。
この違いを理解することで、どちらの試験を選ぶべきか判断しやすくなります。
試験名 | 試験範囲 | 試験日 | 合格率 |
---|---|---|---|
国内旅行業務取扱管理者 | -旅行業法 -約款 -国内旅行実務 |
9月 (CBT方式) |
約30~40% |
総合旅行業務取扱管理者 | -旅行業法 -約款 -国内旅行実務 -海外旅行実務 |
10月第4日曜日 (ペーパー試験) |
約10~15% |
国内試験は範囲が比較的狭く、CBT方式で柔軟に受験できるのが特徴です。
一方、総合試験は範囲が広く、特に「海外旅行実務」では航空券の運賃計算やビザ手続きなど、専門性の高い知識が問われます。
1. 国内旅行業務取扱管理者を先に受験する
以下は、国内旅行業務取扱管理者試験とその後の総合試験での免除科目についてまとめた表です。
試験 | 受験科目 |
---|---|
9月 国内旅行業務取扱管理者 | - 旅行業法 - 約款 - 国内旅行実務 |
翌年以降 総合旅行業務取扱管理者 | - 約款 - 海外旅行実務 |
国内旅行業務取扱管理者試験は、総合試験の基礎となる知識を身につける良いステップです。
この試験に合格することで、総合試験の「旅行業法」と「国内実務」が永続的に免除されます。
そのため、翌年や翌々年に総合試験を再受験する場合でも計画的に取り組むことができ、負担を軽減できます。
メリット
- 免除科目が増える
国内試験に合格すると、総合試験の「業法」と「国内旅行実務」が免除されます。これにより、総合試験では「約款」と「海外旅行実務」に集中できます。 - 学習負担が軽減される
国内試験の知識が総合試験の基礎となるため、試験対策がスムーズになります。
デメリット
- 時間がかかる
国内試験と総合試験を別々に受験することで、資格取得までの期間が長引く可能性があります。その間にモチベーションを維持するのが難しくなり、総合試験の合格まで想定以上の時間がかかるケースもあります。
筆者の国内旅行受験体験は以下の記事で読めます。
2. 総合旅行業務取扱管理者を直接受験する
以下は、総合旅行業務取扱管理者試験の受験科目と試験日程をまとめた表です。
直接受験を検討している方は、この表を参考に準備を進めましょう。
試験 | 受験科目 |
---|---|
10月 総合旅行業務取扱管理者 | - 旅行業法 - 約款 - 国内旅行実務 - 海外旅行実務 |
総合旅行業務取扱管理者に合格したら、国内旅行は受験する必要はありません。
総合旅行業務取扱管理者試験を直接受験する方法は、すべての試験科目を一度にカバーするため、短期間で資格取得を目指したい方に適しています。
一方で、広範囲にわたる学習が必要となるため、効率的な勉強計画が求められます。
ここでは、この受験方法のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット
- 資格取得までの時間を短縮できる
すべての試験科目を一度に受験するため、効率的に資格取得を目指せます。 - 試験費用を抑えられる
国内試験の受験料を省けるため、トータルコストが低くなります。
デメリット
- 学習範囲が広い
国内旅行と海外旅行、約款、業法のすべてをカバーする必要があり、学習負担が大きい。 - 合格率が低い
合格率は7~15%台と国家資格の中でも非常に難関試験です。
3. 国内旅行業務取扱管理者と総合試験を同時に受験する
以下は、国内旅行業務取扱管理者試験と総合試験を同じ年に受験する際の受験科目と試験日程をまとめた表です。
同時受験を検討している方は、この表を参考に計画を立てましょう。
試験 | 受験科目 |
---|---|
同年9月 国内旅行業務取扱管理者 | - 旅行業法 - 約款 - 国内旅行実務 |
同年10月 総合旅行業務取扱管理者 | - 旅行業法 - 約款 - 国内旅行実務 - 海外旅行実務 |
国内旅行業務取扱管理者試験と総合試験を同じ年に受験する方法は、資格取得までの期間を最短化できる点が魅力です。
国内試験は9月(CBT方式)、総合試験は10月に実施されるため、万が一どちらか一方に合格した場合でも次回の試験で効率的にリカバリーが可能です。
たとえば、国内試験だけ合格すれば次回は免除科目が適用され、総合試験だけ合格すれば国内試験を受ける必要がなくなります。
この戦略のメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。
メリット
- 一度にすべての資格を取得できる
国内試験と総合試験を同じ年に受験することで、資格取得までの期間を最短化できます。両方合格すれば、すぐに旅行業界でのキャリアアップに向けて動き出せます。 - 学習内容が重複
国内試験と総合試験の出題範囲には重複が多く、効率的に勉強を進められます。同時受験のために計画的な学習を行えば、知識が相互に補強されます。 - リカバリーが効く
国内試験に合格すれば次回総合試験では免除科目が適用され、総合試験に合格すれば国内試験を受ける必要がなくなるため、効率的にリカバリー可能です。
デメリット
- 負担が非常に大きい
同時受験の場合、学習範囲がさらに広がり、スケジュール管理が難しくなります。特に9月と10月に連続で試験を受けるため、体力的・精神的な負担が大きくなりがちです。 - 集中力と計画性が求められる
どちらか一方でも不合格になると、次回試験の計画を練り直す必要があります。同時受験では負担が大きいため、効率的に学習を進める工夫や集中力を維持するための対策が重要になります。
試験 | 受験科目 |
---|---|
同年9月 国内旅行業務取扱管理者 | - 旅行業法 - 約款 - 国内旅行実務 |
同年10月 総合旅行業務取扱管理者 | --旅行業法 - 約款 - 国内旅行実務 - 海外旅行実務 |
どの受験戦略があなたに最適?
国内旅行業務取扱管理者試験を先に受けるべき人
- 初めて旅行業関連の資格を受験する方
- 少しずつ学習範囲を広げたい方
- 受験に十分な時間を確保できる方
総合旅行業務取扱管理者試験を直接受けるべき人
- 学習時間を多く確保できる方
- 資格取得を急いでいる方
- 業界経験があり、広範囲の知識を短期間で習得できる方
- 実務経験による免除を活かせる方
※総合旅行業務取扱管理者研修を修了している場合、特定科目が免除されるため、直接受験する選択肢が有効です。
同時受験を選ぶべき人
- 学習時間を多く確保できる方
- 資格取得を急いでいる方
- 業界経験があり、広範囲の知識を短期間で習得できる方
- せめて国内旅行だけでも合格しておきたい方
まとめ:この記事を読んだあなたがやること
この記事を読んだら、次の3つのステップに取り組んでみましょう。
受験準備の3ステップ
- 自分に合った受験方法を選ぶ
- 国内試験を先に受験するか、総合試験を直接受けるか、または同時受験を目指すか、自分の状況や目標に応じて最適な方法を選びましょう。
- 試験日程を確認し、学習計画を立てる
- 試験日までのスケジュールを把握し、計画的に学習を進めることが重要です。通信講座や教材を活用して、効率よく準備しましょう。
- 資格取得後の目標を明確にする
- 資格取得後にどのようなキャリアを目指すのかを具体的にイメージし、モチベーションを維持して取り組みましょう。
受験方法を決め、計画を立て、行動に移すことで、資格取得への道が開けます。
旅行業界でのキャリアアップに向けて、一歩を踏み出してください!