
「登録日本語教員」は、2024年に新しく創設された「日本語教師」の国家資格です。
これまで日本語教師は民間スクールやボランティア中心で活動できましたが、国として教育の質を保証するために国家資格制度が導入されました。
今後「認定日本語教育機関」で日本語を教えるには、この資格が必須となります。
制度開始によって、日本語教師の社会的な地位や信頼性は大きく向上しました。
資格制度を理解することは、将来のキャリアを考える上でも大切です。
この記事でわかること
- 登録日本語教員とは? 制度の背景と資格の位置づけ
- 日本語教員試験の内容 出題範囲や合格基準を解説
- 資格を取得するメリット 国内外・海外在住者にとっての活用方法
- 効率的な対策法 短期間で合格を目指す学習方法
この記事を読めば、資格の概要から合格までの流れ、取得するメリットまでを一通り理解できます。
特に海外在住者が取得するメリットについても最後に紹介するので、ぜひ参考にしてください。
登録日本語教員とは?

「登録日本語教員」とは、2024年に新設された国家資格で、日本語を教えるための標準的な知識と能力を証明するものです。
この資格は、文部科学省に認定された「認定日本語教育機関」で日本語を教える際に必須となります。
2024年に制度が始まった背景には、世界的な日本語学習者の増加と、日本語教育の質を国として保証する必要性があります。
従来は民間スクールやボランティア活動が中心でしたが、制度化によって日本語教師の社会的な信頼性が高まっています。
登録日本語教員への登録までの流れ

登録日本語教員になるには、次のいずれかのルートを経る必要があります。
| ルート | 養成機関での課程 | 日本語教員試験 | 登録実践研修 |
|---|---|---|---|
| 試験ルート | なし | 基礎+応用 | 必須 |
| 養成機関ルート | あり | 応用のみ | 必須 |
試験ルートは養成機関に通う必要がないため、コストを抑えて短期間で挑戦できますが、基礎試験と応用試験の両方に合格する必要があります。
一方で養成機関ルートは、基礎試験が免除される分、範囲が狭くなりますが、学費や通学時間が必要です。
そのため、「独学で挑戦したいなら試験ルート」「確実に合格を狙うなら養成機関ルート」という選び方になります。
重要ポイント
どちらのルートを選んでも、最終的には「登録実践研修」を修了しなければ正式に登録日本語教員にはなれません。
次のパートで「日本語教員試験」の詳細を解説します。
日本語教員試験の概要

日本語教員試験は、登録日本語教員になるために必要な国家試験です。
日本語を教えるための知識・能力・適性を総合的に評価するもので、基礎と応用試験に分かれています。
試験スケジュール
日本語教員試験は、毎年11月上旬に実施される予定です。
令和7年度は以下の日程が発表されています。
令和7年度試験日程
- 第一回試験日(令和7年度):令和7年11月2日(日曜日)
- 出願期間:令和7年7月14日(月曜日)〜8月22日(金曜日)
- 試験結果通知:令和7年12月12日(金曜日)(予定)
試験の内容と合格基準
日本語教員試験は次の2種類の試験で構成されています。
| 試験区分 | 出題分野 | 概要 |
|---|---|---|
| 基礎試験 | 1. 社会・文化・地域 2. 言語と社会 3. 言語と心理 4. 言語と教育 5. 言語 |
文法・語彙・音声・教育理論など、日本語教育に必要な基礎知識を評価。 |
| 応用試験 | ・聴解 ・読解 |
教育現場を想定した実践力を評価。音声問題やケーススタディを中心に出題。 |
合格基準
- 基礎試験:各区分で60%以上かつ総合得点80%以上
- 応用試験:総合得点で60%以上
※年度ごとの難易度によっては合格基準が調整される場合があります。
「試験ルート」で登録を目指す場合は、基礎と応用両方の合格が必要。
「養成機関ルート」では基礎試験が免除され、応用試験のみ合格でOKです。
初年度(令和6年度)の合格率をどう見るか
令和6年度は制度初年度ということもあり、「養成機関ルート」は実施されていません。
さらに通常の「試験ルート」に加え、現職者向けの経過措置ルートがありました。
実際のデータを整理すると次のようになります。
| 区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 試験ルート | 約6,900人 | 601人 | 8.7% |
| 経過措置ルート | 約10,700人 | 10,450人 | 97.6% |
| 合計 | 17,655人 | 11,051人 | 62.6% |
つまり、「一般受験者の実質的な合格率は初年度わずか8.7%」というのが現実です。
令和7年度以降は養成機関ルートの修了者が増え、本来の試験制度に沿ったデータが出てくると考えられます。
合格率62.6%という数字はあくまで経過措置込み。
これから受験を考える人は、実際の合格難易度は「試験ルート=1割未満」だと理解しておきましょう。
登録実践研修とは?

登録実践研修とは、日本語教師として現場で必要な「実践力」を養うための研修制度です。
日本語教員試験に合格しただけでは登録日本語教員にはなれず、この実践研修を修了してはじめて正式に登録が可能となります。
研修は教育実習に近い形式で行われ、授業見学・模擬授業・教壇実習・振り返りといったプロセスを通じて、現場で即戦力となる力を身につけていきます。
登録実践研修の概要
- 教育実習型の研修:授業見学・模擬授業・教壇実習などを通じて現場感覚を身につける
- 登録に必須:日本語教員試験に合格しても、この研修を修了しなければ登録できない
- 期間と費用:おおよそ2〜3か月で修了、費用は約5万円(試験ルートの場合)
- 実施機関:文部科学省が認定した機関のみで受講可能
登録実践研修を受けられる機関は文部科学省の公式ページで公開されています。
日本語教育能力検定試験との違い

日本語教員試験と似た名称の「日本語教育能力検定試験」ですが、国家資格と民間資格という大きな違いがあります。
| 項目 | 日本語教員試験 | 日本語教育能力検定試験 |
|---|---|---|
| 資格の種類 | 国家資格(登録日本語教員になるため必須) | 民間資格(JEESが実施) |
| 必須性 | 「認定日本語教育機関」で教えるには必須 | 必須ではないが、多くの学校・企業で評価対象 |
| 活用の場 | 国内外の公的機関、大学、日本語学校、オンライン教育 | 民間スクール、企業研修、フリーランスの活動 |
日本語教育能力検定試験について詳しくは以下の記事をご覧ください。
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登録日本語教員を取得するメリット

登録日本語教員資格は、取得することでキャリアの可能性が大きく広がります。
登録日本語教員のメリット
- 需要の高まり:日本語学習者の増加により国内外での求人が拡大
- 柔軟な働き方:副業としてオンライン授業、本業として海外就職の両立が可能
- 信頼性の証明:国家資格として採用や待遇面で優遇されやすい
海外で日本語教師をしたい!という方に向けて以下の記事でメリットとデメリットを解説してます。
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まとめ|登録日本語教員制度の概要

2024年に創設された登録日本語教員制度は、日本語教育の質を保証するために導入された国家資格制度です。
資格を得るには、以下の流れをクリアする必要があります。
登録日本語教員になるまでの流れ
- 日本語教員試験:基礎試験+応用試験(養成機関ルートは基礎免除)
- 登録実践研修:授業見学・模擬授業・実習を含む教育実習型研修
- 登録申請:文部科学省への申請を経て「登録日本語教員」として正式に認定
つまり、「試験合格だけでは不十分」で、実践研修を修了して初めて資格が成立する仕組みになっています。
また、この資格は認定日本語教育機関で教えるために必須となり、公的機関や大学での活動を視野に入れるなら避けて通れません。
一方で、フリーランスや民間スクールでの活動を希望する人は、従来の日本語教育能力検定試験でも十分に評価されます。
