
この記事では、「国際結婚で外国人配偶者が日本で在留資格を取得する方法」を、筆者の体験談を交えながら解説します。
私は中国人の妻と結婚し、20年以上中国で生活していました。
コロナ禍で帰国が難しい中、日本へ本帰国することになり、その際に妻の在留カード手続きを経験しました。
その時の手続きは想像以上に大変で、必要書類の準備や提出方法で何度も戸惑いました。

手続きの注意点や必要書類、参考リンクもまとめているので、これから手続きを始める方はぜひ参考にしてください。
在留資格とは?
在留資格とは、日本に滞在する外国人が行う活動や身分に基づいて、日本政府がその滞在を許可するための資格です。
外国人配偶者が長期滞在するためには、「日本人の配偶者等」という在留資格を取得する必要があります。
詳細は法務省の公式ページをご確認ください。
この在留資格に基づいて、最終的には在留カードが交付されます。
ただし、カードを受け取るのは日本入国時の空港であり、
事前に日本で「在留資格認定証明書」を申請 → 配偶者の居住国でビザを取得
という手続きを済ませておく必要があります。
在留カード取得までの流れと全体像
まずは、全体の流れを簡単に案内します。
「在留資格認定証明書」の申請
日本の地方出入国在留管理局で申請(代理人による申請も可能)
「在留資格認定証明書」の交付
約1〜3か月後、日本国内の住所へ郵送。(海外直送不可のため、転送対応が必要)
「渡航ビザ」の申請
配偶者の居住国の日本大使館・領事館へ提出。通常1〜2週間程度でビザ発行。
「在留カード」の交付
配偶者が日本入国時に空港で「在留カード」を受け取る。
住民登録・健康保険加入など
在留カードを持って日本居住地の市区町村役場で住民登録(14日以内)。同時に健康保険の加入手続きも行う。
つぎに、「在留資格認定証明書」に必要な書類を案内します。
「在留資格認定証明書」申請に必要な書類
最初のステップとして、日本側で取得する「在留資格認定証明書」に必要書類を揃えましょう。
書類名 | 備考 |
---|---|
在留資格認定証明書交付申請書 | 所定の様式に記入し、写真を添付する必要があります。 |
写真(1葉) | 指定規格を満たした写真を用意し、申請書に貼付。 |
配偶者(日本人)の戸籍謄本 | 婚姻事実の記載があるもの。婚姻事実が記載されていない場合は婚姻届出受理証明書も必要。 |
申請人の国籍国の結婚証明書 | 外国の機関が発行した結婚証明書を1通提出。 |
日本での滞在費用を証明する資料 | 課税証明書・納税証明書、預貯金通帳の写し、または雇用予定証明書などいずれかを提出。 |
配偶者(日本人)の身元保証書 | 所定の様式に記入し提出。 |
配偶者(日本人)の住民票の写し | 世帯全員が記載されたもの。マイナンバーは省略し、他の事項は省略なし。 |
質問書 | 必要事項を記入し提出。複数言語版あり。 |
夫婦間の交流が確認できる資料 | スナップ写真(2~3葉)、SNS記録、通話記録など。 |
返信用封筒 | 定形封筒に宛先を記入し、簡易書留用の切手を貼付。 |
ポイント
- 書類はすべて最新のもので、内容が正確か確認しましょう。
- 課税証明書や住民票は市役所・区役所で取得できます。
- 書類に不備があると審査が遅れるため、慎重に準備しましょう。
最新情報はこちらから: 法務省 在留資格認定証明書交付申請(日本人の配偶者等)
書類を揃えたらいよいよ申請になります。次に各ステップごとに解説していきます。
各ステップの注意ポイント|体験談を交えて解説
在留資格取得から日本での生活開始までは、大きく5つのステップに分かれます。
それぞれの流れを簡潔に説明しつつ、私たちの体験談を交えて注意点を紹介します。
ステップ1:「在留資格認定証明書」の申請
必要書類をそろえ、日本国内の地方出入国在留管理局にて在留資格認定証明書交付申請を行います。
👉地方出入国管理局の一覧はこちらから。
郵送では受付できず、本人または代理人による持参が必要です。
私はコロナ禍で帰国できなかったため、母が横浜の入国管理局で代理申請してくれました。
提出書類の「質問書」には二人の出会いや交際の経緯を書く欄があります。
「詳細に書きすぎると証人や追加資料が必要になる場合がある」とスタッフからアドバイスを受け、その場で内容を調整しました。

注意ポイント
- 質問書は簡潔かつ正確に記入する。
- 代理提出できる人は限られているので要確認。(法務省公式)
- 不明点は窓口でスタッフに相談すると安心。
ステップ2:「在留資格認定証明書」の交付

在留資格認定証明書
交付までの目安は1〜3か月程度。
認定証明書は日本国内の住所に郵送され、海外への直接送付は不可のため、転送が必要です。
私たちの場合、在留資格認定証明書の交付には約3週間かかりました(提出:11月15日 → 交付:12月8日)。
証明書は実家の母に郵送され、そこから上海に転送してもらいました。
渡航まで1か月に迫っていたので、いつ届くのかとやきもきしたのを覚えています。
注意ポイント|短期ビザで入国している場合
本人が短期ビザで日本に滞在している場合、原則として一度母国に戻ってビザ申請が必要です。
ただし以下のような特別な事情がある場合、日本国内で在留資格変更許可申請が認められるケースもあります:
- 配偶者が妊娠中で帰国が難しい場合
- 重篤な病気などで帰国が困難な場合
- 災害や渡航制限など、特別な事情がある場合
ステップ3:「渡航ビザ」の申請

日本人の配偶者ビザ(シングル)
認定証明書を添えて、配偶者の居住国の日本大使館・領事館(または関係機関)で「日本人の配偶者等」ビザを申請します。
審査には通常1〜2週間程度かかります。
私たちは上海の出入国管理局経由でビザを申請しました。
審査には約1週間かかり、年末ギリギリでビザを受け取ることができました。
このビザでようやく日本への渡航が可能となりました。
ステップ4:「在留カード」の交付

在留カード
日本入国時、主要空港(成田・羽田・関空・中部など)で在留カードが交付されます。
このカードは日本での生活における身分証明書となり、常時携帯が義務づけられています。
私たちも日本に到着後、入国審査の際に在留カードを受け取りました。
これで日本での生活に必要な基礎的な身分証明が整いました。
注意ポイント
- 在留カードは常に携帯義務があります。
- 次のステップ(住民登録)で必要になるので紛失に注意。
ステップ5:住民登録・健康保険加入など
在留カードを受け取ったら、14日以内に居住地の市区町村役場で住民登録を行う必要があります。
同時に国民健康保険への加入手続きも進めます。勤務先が決まっている場合は、社会保険に加入するケースもあります。
私たちも到着後すぐに役場へ行き、住民登録と保険の手続きを済ませました。
住民票が作成されるこで、銀行口座の開設や携帯電話の契約など、生活に必要なことがスムーズに進められました。
注意ポイント
- 住民登録は到着後14日以内が期限。忘れると罰則の可能性あり。
- 手続きには在留カードとパスポートを持参。
- 健康保険は国民健康保険か社会保険か、状況に応じて選択。
まとめ:スムーズな手続きを目指して
外国人配偶者の在留資格取得は、複数のステップを経て完了する手続きです。
準備が万全であればスムーズに進む一方で、書類不備や予期せぬ状況で時間がかかることもあります。
スムーズな手続きのためのポイント
- 必要書類は事前にしっかり確認し、正確に準備する
- 「質問書」は簡潔かつ正確に記入し、余計なトラブルを避ける
- 渡航日程には余裕を持ち、認定証明書やビザの交付を待つ期間を考慮する
これから手続きを進める方は、ぜひ今回紹介した体験談や注意ポイントを参考にしながら準備を進めてください。
この記事は以上です。ありがとうございました。