
結論から言うと、海外在住でも「任意加入制度」を活用すれば、日本の年金を将来受け取ることが可能です。
ただし、住民票の有無や手続きのタイミングによっては受給資格を失ってしまうリスクもあります。
この記事では、海外在住中の年金の取り扱いや「任意加入」の方法、10年ルールなど、将来のために今知っておきたい情報をわかりやすくまとめました。

この記事でわかること
- ✅ 海外に住むと年金はどうなる?住民票との関係
- ✅ 任意加入制度のしくみとメリット・注意点
- ✅ 年金受給資格の「10年ルール」と合算制度
- ✅ 帰国後にやるべき年金手続き
そもそも日本の年金制度ってどうなってるの?

日本の年金制度は大きく分けて「国民年金」と「厚生年金」の2つから成り立っています。
年齢や職業、居住地によって加入の種類や義務が変わってくるため、まずは仕組みをざっくり理解しておきましょう。
- 国民年金:日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入(いわゆる「基礎年金」)
- 厚生年金:会社員や公務員が国民年金に上乗せして加入(給与から天引き)
これらは日本に「住んでいる人(=住民票がある人)」が対象です。
そのため、海外に転出して住民票を抜くと、自動的に加入義務がなくなります。
ポイント
海外在住でも任意で年金を継続して払う方法(任意加入)があります。
詳しくは次のパートで解説します!
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海外在住でも払える!任意加入制度とは?
住民票を抜いたら、もう年金は払えない――そんなふうに思っている方も多いかもしれません。
でも、将来の年金がゼロになるのはやっぱり不安ですよね。
実は、海外に住んでいても希望すれば国民年金を払い続けられる「任意加入制度」があります。
これは、住民票を抜いて日本の「強制加入」対象から外れた人が、自分の意思で継続加入できる制度。
対象となるのは20歳以上60歳未満の海外在住の日本人です。

たしかに、「将来の年金はあてにならない」と思う人も少なくありません。
でも、国民年金にはこんな“万が一”への備えも含まれています。
- 高齢になったときにもらえる「老齢年金」
- 病気やケガで障害を負ったときの「障害年金」
- 本人が亡くなった場合に支給される「遺族年金」
これらをすべて民間保険でまかなうとなると、毎月の保険料は数万円以上かかることも珍しくありません。

任意加入って実際どうなの?メリットと注意点を整理
任意加入は「希望すれば払える」だけでなく、将来の年金受給や生活設計にも大きく関わる重要な制度です。
ここでは、実際に加入することで得られるメリットと、気をつけたい注意点を整理しておきましょう。
✔ 任意加入のメリット
メリット
- 老齢年金の受給資格(10年)を満たせる
- 納付期間を増やして、受給額をアップできる
- 空白期間を防ぎ、将来の制度トラブルを回避
この制度を使えば、海外生活が長く、受け取れる将来の年金がゼロからプラスにすることができます。
特に、筆者のように海外に長く住んでいて、将来また日本で暮らしたいと考えている方には、心強い制度です。
⚠ 任意加入の注意点
注意点
- 保険料は全額自己負担
- 未納が続くと将来の受給資格を失うおそれ
- 海外からの支払いや手続きが少し面倒

年金をもらうには何年必要?「10年ルール」と確認のしかた

日本の年金制度では、年金を受け取るには「10年以上」の加入期間(保険料の納付期間)が必要です。
以前は25年必要でしたが、2025年時点では制度が見直され、ハードルが大幅に下がりました。
受給資格の条件(2025年時点)
- 10年以上の年金加入・納付期間があればOK
- 任意加入でこの10年を満たすこともできる
「自分はあと何年足りてるのか?」が気になる方は、年金記録を確認してみましょう。
- マイナポータルや「ねんきんネット」でオンライン確認可能
- 帰国後は年金事務所や市区町村役所での相談も可能
- 空白期間(納付漏れ)が見つかった場合は、追納や記録修正も対応できます

まずは記録チェックから始めましょう。
任意加入だけじゃ不安?今からできる自分年金対策も検討しよう

任意加入は日本の公的年金制度に継続的に関わる大事な手段ですが、それだけで安心というわけではありません。
そこでおすすめなのが、自分でできる“自分年金対策”です。
たとえば、以下のような方法があります。
- 新NISAを活用して非課税で資産形成(楽天証券など)
- FPの資格勉強を通じて、お金の仕組みを深く理解
- ファイナンシャルプランナーに相談して、将来設計を明確にする
いずれも海外在住中でも始められる方法なので、「年金が不安…」という方は早めに検討してみるのがおすすめです。
詳しい実践方法やおすすめサービスは、以下の記事でまとめています:

まとめ|海外在住でも「年金放置」はNG。今から備えることが大切
海外に住んでいると、日本の年金制度から少し距離を感じてしまうのは自然なことです。
しかし、「知らなかった」「放置していた」ことが、将来の受給資格の喪失や老後の不安につながるのもまた事実です。
今回ご紹介したように、住民票を抜いていても任意加入制度を使えば、年金を継続して納めることができます。
この記事のまとめ
- 住民票を抜いても、任意加入で国民年金を継続できる
- 10年以上の納付で受給資格が得られる(以前は25年)
- まずは自分の記録を確認し、現状を把握することが第一歩
- 自分年金対策として、投資・副業・学習なども検討を
また、10年の納付期間があれば受給資格が得られるため、「今さら無理かも…」と思っていた方にもチャンスがあります。
さらに、年金だけに頼らず、新NISAや副業、FP学習などの自分年金対策も併せて考えることで、より安心した将来設計が可能になります。

この記事が、あなたの行動のきっかけになれば嬉しいです。