
「日本語教育能力検定試験」は、日本語教師を目指す人がまず調べる定番の資格試験です。
最近では、円安やインバウンド需要の高まりにより、日本語を学ぶ外国人が急増しています。
その結果、日本語教師の需要も拡大し、資格を持つことで転職・副業・海外就職など幅広い場面で有利に働きます。
この記事でわかること
- 日本語教育能力検定試験とは? 資格の位置づけと特徴
- 試験の概要 実施団体・受験資格・合格率
- 登録日本語教員との違い どちらを目指すべきか
- 合格後のキャリア 活かせる働き方とメリット
- 効率的な勉強法 学習の進め方とおすすめ講座
日本語教育能力検定試験とは?

「日本語教育能力検定試験」は、公益財団法人 日本国際教育支援協会(JEES)が1988年から実施している民間資格試験です。
日本語教育に必要な知識を幅広く評価する全国規模の試験として位置づけられており、毎年多くの受験者が挑戦しています。
この試験に合格すると、日本語教師としての基礎的な能力を客観的に証明することができます。
そのため、多くの日本語学校や企業では採用条件や優遇対象として扱われており、キャリアの大きな後押しになります。
注意したいのが、2024年に新設された国家資格「登録日本語教員」を取得する「日本語教員試験」とは別の試験になります。
日本語教育能力検定試験の概要

このパートでは試験の概要を解説します。
試験日・受験料・合格発表日
この試験は毎年1回10月に開催されます。
令和7年度の詳細は以下のとおりです。
| 出願期間 | 令和7年7月1日(火)〜7月31日(木) |
|---|---|
| 受験票発送 | 令和7年9月26日(金)に発送 |
| 試験日 | 令和7年10月26日(日) 9:50〜16:40(開場9:00) |
| 受験料 | 17,000円(税込) |
| 試験地区 | 北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、九州 |
| 合格発表 | 令和7年12月19日(金)に合否結果通知書を発送予定 |
| 合格証明書発行 | オンライン申込可(手数料1通1,000円/和文・英文) |
詳細は「公益財団法人 日本国際教育支援協会(JEES)」の公式ホームページをご覧ください。
出題範囲
日本語教育に必要な知識が網羅的に出題され、文化庁が定めた「必須の教育内容」をベースに構成されています。
大きくは以下の領域に分かれます。
出題範囲
- 社会・文化・地域
- 言語と社会
- 言語と心理
- 言語と教育
- 言語(文法・語彙・音声など)
試験区分と形式
試験は「Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」の3部構成です。
基礎知識だけでなく、聴解や記述を通じて総合的な力が試されます。
| 試験区分 | 形式 | 内容 |
|---|---|---|
| 試験Ⅰ | マークシート | 言語学、心理学、社会言語学、日本語教育理論など基礎知識 |
| 試験Ⅱ | リスニング | 授業場面の聞き取り、音声理解、基礎的な応答力 |
| 試験Ⅲ | マークシート+記述 | 教材作成や授業設計、ケーススタディ、400字程度の論述問題 |
受験者数と合格率
日本語教育能力検定試験は、合格率がおよそ28〜30%前後で推移しており、決して易しい試験ではありません。
| 実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2018年(平成30年度) | 6,801 | 1,937 | 28.5% |
| 2019年(令和元年度) | 9,380 | 2,659 | 28.3% |
| 2020年(令和2年度) | 9,033 | 2,613 | 28.92% |
| 2021年(令和3年度) | 8,269 | 2,465 | 29.81% |
| 2022年(令和4年度) | 7,054 | 2,182 | 30.93% |
| 2023年(令和5年度) | 8,211 | 2,542 | 30.96% |
| 2024年(令和6年度) | 3,371 | 1,045 | 30.99% |
近年の傾向としては、2020年前後に受験者数が9,000人を超えてピークを迎えました。
その後、2023年以降は国家資格「登録日本語教員」制度への移行の影響で受験者数が大きく減少しています。
一方で、合格率自体は以前から3割前後で安定しており、特に上昇したわけではありません。
登録日本語教員制度との違い

「日本語教育能力検定試験」と「登録日本語教員制度」は、名前が似ているため混同されがちです。
しかし、実際には国家資格か民間資格かという大きな違いがあります。
検定試験は「登竜門」として長年評価されてきた一方、登録日本語教員は2024年から始まった新しい国家資格です。
以下の比較表を見ると、それぞれの資格の特徴が一目でわかります。
| 項目 | 日本語教育能力検定試験 | 登録日本語教員 |
|---|---|---|
| 資格の種類 | 民間資格(JEESが実施) | 国家資格(文部科学省所管) |
| 必須性 | 必須ではないが、現場で広く評価される | 認定日本語教育機関で教えるには必須 |
| 活用できる場 | 民間スクール・企業研修・海外ボランティアなど | 大学・公的機関・認定日本語学校 |
| 取得方法 | 試験合格のみ | 試験合格+登録実践研修の修了 |
まとめると…
- 日本語教育能力検定試験:必須ではないが「日本語教師の登竜門」として評価される民間資格
- 登録日本語教員:認定教育機関で教えるために必須となる国家資格
登録日本語教員について詳しくは以下の記事で解説しています。
こちらもCHECK
-
-
「登録日本語教員」とは?日本語教員試験の概要と取得までの流れをわかりやすく解説
続きを見る
検定試験合格者への経過措置
2024年に始まった国家資格「登録日本語教員」への移行にともない、日本語教育能力検定試験の合格者は経過措置の対象となります。
これにより、すでに検定に合格している人は新制度で有利に登録することができます。
| 対象 | 必要条件 | 経過措置の内容 | 期限 |
|---|---|---|---|
| 日本語教育能力検定試験 合格者 |
・検定試験合格 ・一定の勤務経験 |
登録日本語教員の 基礎試験が免除 |
令和11年3月31日まで ※一部は令和15年まで |
ポイント
- 検定試験だけでは不可。勤務経験がセットで必要
- 期限内に申請すれば「登録日本語教員」への道が開かれる
- これから検定を受ける人も、合格しておけば経過措置で有利
合格後に活かせる場面

「日本語教育能力検定試験」に合格すると、以下のような幅広いフィールドで活躍できます。
活かせる主な場面
- 海外の語学学校: アジアや欧米の日本語学校での就職チャンスが広がる
- 国内の日本語学校: 民間スクールや企業研修の講師として評価されやすい
- オンライン日本語教師: 副業としての活動や、フリーランスとして世界中の学習者とつながれる
- 地域活動やボランティア: 国際交流協会などでの日本語支援にも役立つ
海外で日本語教師を目指したい人に向けて、以下の記事でメリットとデメリットを解説しています。
こちらもCHECK
-
-
海外で日本語教師になるには?メリット・デメリットと3つのステップ
続きを見る
日本語教育能力検定試験のおすすめ勉強法と勉強時間

日本語教育能力検定試験は範囲が広く、独学だけでは効率が悪くなりがちです。
限られた時間で合格を目指すためには、次の学習法が効果的です。
効率的な学習のポイント
- 過去問演習: 出題傾向を掴み、知識を体系的に定着させる
- 参考書・テキスト: 初学者向けの基礎本+応用的な問題集を組み合わせる
- 時間管理: 学習時間の目安は500〜600時間。働きながらなら計画的に進める
- 通信講座: 独学が不安な人は講座を活用し、効率よく得点源を固める
おすすめの通信講座

独学が不安という方は、通信講座の「アガルート」がおすすめです!
日本語教育能力検定試験だけでなく、2024年から始まった「日本語教員試験」にも対応しており、どちらの試験を受けてもムダにならない安心設計です。
しかも、講義はオンライン完結なので、海外在住や働きながらでも無理なく続けられます。
基礎から実践まで体系的に学べるため、「初学者でも最短ルートで合格」を目指せます。
講座活用のメリット
- オンライン対応: 海外在住でも受講可能
- 短期集中型: 得点源に直結するテーマを中心に学習できる
- 合格実績: 高い合格率や返金保証制度が安心材料
\登録日本語教員の国家資格化‼「日本語教員試験」対応/
資格取得の最短ルートはアガルート‼
まとめ|日本語教育能力検定試験の位置づけ

日本語教育能力検定試験は、誰でも受験できる日本語教師の登竜門として広く知られています。
この記事のまとめ
- 民間資格だが評価が高い: 登録日本語教員とは異なり必須ではないが、多くの学校や企業で採用条件に含まれる
- 合格率は約30%: 学習時間は500〜600時間が目安。働きながらの受験者も多い
- 活躍の場は幅広い: 海外語学学校・国内スクール・オンライン指導など、多様なキャリアに直結
- 効率的な学習が必須: 過去問演習+参考書+通信講座で短期合格を目指すのがおすすめ
つまり、日本語教育能力検定試験は「必須ではないが確実に評価される実力証明」となる資格です。

