海外赴任が決まったけど、住民票は抜く必要ある?
住民票を抜くとどうなるの?メリットデメリットを教えて!
結局、住民票は抜いた方が良いの?抜いたら保険はどうするの?
海外移住や赴任、留学の準備において、住民票を抜いた方が良いのかどうかを悩む方は多いと思います。
この記事では住民票を抜くとどうなるのか、抜いた場合の対処法などを解説します。
この記事を書いてる人
✔海外在住20年以上
✔上海で旅行会社経営
✔海外在住中に宅建など資格取得
✔現在は日本で不動産業を兼務
✔日本帰国2年で4つの国家試験に合格
結論
海外に1年以上住む場合は住民票を抜く必要がある。
ただ抜かなくても違法ではない。
住民票を抜くと税や保険の負担減。
国民年金の加入は任意に。
国民健康保険は強制脱退に。
抜いても国民年金は任意で継続、健康保険は民間保険でカバーも可能。
では詳しく解説します。
住民票を抜くとは? 海外転出届
住民票とは「住民の居住関係を公に証明するもの」です。
海外に居住を移す場合は、海外転出届を役所に提出し、住民票を抜く必要があります。
つまり、「海外転出届の提出=住民票を抜く」ことです。
1年以上の海外出張や海外旅行で日本を離れるときに提出が必要ですが、罰則はないため、提出するかどうかは本人の判断です。
住民票を抜いた場合の影響については次に解説します。
住民票を抜いたらどうなる?
住民票を抜くと以下のようになります。
住民票を抜くと影響があるもの
国民年金の加入が任意になる
国民健康保険は強制脱退になる
住民税の支払いがなくなる
マイナンバーが使えなくなる
順番に解説します。
住民票を抜くと「国民年金」の支払いが任意になる
住民票をぬくメリット | 国民年金保険料の負担がなくなる (ただし任意で継続可能) |
住民票をぬくデメリット | 年金受給額が減る |
日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の方は加入する義務がある「国民年金」。
通常65歳から年金を受給でき、支払いの期間に応じて年金の受給額が変動します。
住民票を抜くと、国民年金の支払いが義務から任意に変わります。
つまり住民票を抜くと保険料の負担が減りますが、支払いしてない期間に応じて受給できる年金の額も減少します。
加入を続けることもできるので、受給額を減らしたくない方は保険料を支払いましょう。
参考に現在の国民年金の保険料は下記の通り。
病気やケガなどが原因で障害認定を受けた方に給付されるもの「障害年金」、亡くなった方の遺族に対して給付される「遺族年金」もカバーされています。
年金はオワコンなどと言われますが、民間の保険では信じられないくらい手厚い保険なのでできれば任意でも加入をしたほうが私は良いと思います。
住民票を抜くと「国民健康保険」の支払いがなくなる
住民票をぬくメリット | 健康保険の保険料負担がなくなる |
住民票をぬくデメリット | 日本の医療費が高額になる 海外医療費制度を使えない |
日本に住んでいる人全員が加入する義務がある「国民健康保険」。
住民票を抜くと、加入自体ができなくなります。
保険料の支払い負担が減りますが、日本帰国時に病気や怪我をしたとき、医療費が高額になってしまいます。
またあまり知られていませんが国民健康保険には、「海外療養費制度」があります。
海外療養費制度は、海外旅行中や海外赴任中に急な病気やけがなどによりやむを得ず現地の医療機関で診療等を受けた場合、申請により一部医療費の払い戻しを受けられる制度です。
引用:全国健康保険協会 (太字は筆者)
もし住民票を抜かなければ、海外での病気や事故でも健康保険の対象となるのです。
なので住民票を抜いた場合は、民間の保険などで万が一に備える必要があります。
ただし海外療養費制度は日本の国内で保険診療として適用される範囲内と、医療を目的とした渡航は適用されない点は注意です。
- 海外療養費の支給対象となるのは、日本国内で保険診療として認められている医療行為に限られます。そのため、美容整形やインプラントなど、日本国内で保険適用となっていない医療行為や薬が使用された場合は、給付の対象になりません。
- 療養(治療)を目的で海外へ渡航し診療を受けた場合は、支給対象となりません。日本で実施できない診療(治療)を行った場合でも、保険給付の対象とはなりません。引用:全国健康保険協会 (太字は筆者)
住民票を抜くと住民税の支払いがなくなる
住民票をぬくメリット | 住民税の負担がなくなる |
住民票をぬくデメリット | なし |
以下、Wikipediaからの引用です。
その年の1月1日現在で居住しているところ(原則として住民票の住所)で課税される。
そのため、翌日の1月2日以降に他の市町村へと転居した場合でも、1月1日現在で居住していた市町村に住民税を全額納付しなければならない。
この場合、その年の住民税は転居先の市町村から課税されることはない。
納付する税額は、前年の1月から12月までの所得に応じて計算される所得割と、(各市町村によって税額が異なるが)定められた額で一律に課される均等割を合算した額である。
引用:Wikipedia (太字は筆者)
簡単にまとめると
住民税は前年度の所得に応じ、翌年払う
1月1日に住民票がなければ、払わなくてよい
所得に応じて「所得割り」と「均等割り」がある。
ちなみに所得割りはざっくり前年の課税所得の約10%、均等割りは約5,000円(年額)です。
所得割りが非課税の場合、均等割りのみ住民税(約5,000円)を支払います。
ただ海外へ移住後の1年目は前年の所得分に応じて、住民税が課税される点は注意です。
詳しくはお住いの区役所などにお問い合わせください。
住民票を抜くと「マイナンバー」が使えなくなる
メリット | なし |
デメリット | 日本で銀行口座開設が不可になる 日本からの海外送金も不可 海外の銀行口座でマイナンバーが必要な場合も |
国外へ転出する場合は、お住まいの区の区役所区民課または支所区民センターへ転出届を提出する際に、通知カードまたはマイナンバーカードの返納の手続を行ってください。
国外転出により返納した旨の記載を行い、カードはお返しします。通知カードまたはマイナンバーカードは失効しますが、その後国内に転入される際に同じ番号を使うため、カードは大切に保管をお願いします。
引用:川崎市市役所 (太字は筆者)
住民票を抜くとマイナンバーカードは無効となります。
マイナンバーがないと、銀行や証券会社で新規の口座が開設できなかったり、海外への送金も不可となりメリットは一つもありません。
もし海外渡航前に住民票を抜く場合は、銀行口座開設など必要な手続きは先にすませましょう。
渡航先の国でマイナンバーカードが必要な場面があるかは事前確認した方が良いです。
マイナンバー(個人番号)を付番されてから国外転出した方が国内へ転入する場合は、新住所地の区の区役所区民課または支所区民センターへ転入届を提出する際に、国外転出前にお返ししたマイナンバーカードをお持ちください。
国外転出前にお返ししたカードは失効しているため、再交付申請を御案内します(手数料は無料)
引用:川崎市市役所
マイナンバーは帰国して住民票を戻すと再度利用できるようになります。
結局、住民票は抜いた方がいいの?
住民票を抜くか抜かないか…いろんな事情の方がいるので結局は本人次第です。
ただ罰則がないとはいえ、海外へ移住や1年以上渡航する場合は、「海外転出を届け出る必要がある」ので抜くのが筋かと思います。
注意
小中学生のお子さんがいる家庭は住民票を入れたままだと就学の義務が発生します。
教育委員会から子供を投稿させるよう督促が届き、「10万以下の罰金」となることも。
住民票を抜いた場合、以下の対策は可能です。
国民年金 ⇒ 任意加入を続ける
国民健康保険 ⇒ 海外旅行保険やクレジットカード付帯の民間保険でカバー
マイナンバーについては渡航先の手続きで必要になる場合もあるので、渡航してから半年後くらいに様子を見て住民票を抜くのが良いと思います。
いずれにせよ、年金や健康保険は将来に大きくかかわるので、ご自身の人生プランを考えて最良の答えを出せるようにしてましょう。
まとめ
いかがでしたか?
住民票を抜くと、以下に影響があります。
住民票を抜くと影響があるもの
国民年金の支払いが任意になる
国民健康保険の支払いがなくなる
住民税の支払いがなくなる
マイナンバーが使えなくなる
税金や保険料の負担がなくなるのは嬉しいですが、弱くなってしまった社会保障は、国民年金に継続加入するなり、保険は民間でカバーするなりが必要です。
住民票の他に、海外移住が決まってから準備するべきことは以下の記事でくわしく解説してます。
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この記事は以上です。ありがとうございました。