総合旅行業務取扱管理者は、旅行業界において必須の国家資格であり、旅行業法に基づく責任者として国内外の旅行商品を取り扱うことができます。
この資格を持つことで、旅行会社での信頼度が向上し、キャリアアップにもつながります。
旅行業法上、国内旅行業務取扱管理者とは異なり、海外旅行の取り扱いも可能となる資格です。そのため、旅行会社にとって欠かせない存在となっています。
この記事では、総合旅行業務取扱管理者の概要、試験内容、メリット、そして具体的な勉強法について詳しく解説します。
この記事を書いてる人
✔海外在住20年以上
✔上海で旅行会社経営
✔海外在住中に宅建など資格取得
✔現在は日本で不動産業を兼務
✔日本帰国2年で4つの国家試験に合格
総合旅行業務取扱管理者の概要
総合旅行業務取扱管理者は、旅行業務全般を管理する国家資格です。
旅行商品の企画・販売・手配・実施における法的責任を負い、国内外の旅行業務を安全かつスムーズに遂行するために欠かせない存在です。
旅行業法では、日本国内の旅行会社が旅行業務を行う場合、事業所ごとに総合旅行業務取扱管理者を配置することが義務付けられています。
一方で、国内旅行業務取扱管理者は国内旅行のみを取り扱う資格です。
この違いにより、総合旅行業務取扱管理者は取り扱える業務の幅が広く、特に海外旅行を含む企画や手配が可能である点が大きな特徴となっています。
総合旅行業務取扱管理者を持つことで、次のような業務が可能になります:
- 海外旅行商品の企画と販売
- 外国人観光客向けサービスの提供
- 海外現地ツアーの運営管理
また、観光業がグローバル化する中で、総合旅行業務取扱管理者を持つ人材は海外旅行のプロフェッショナルとして業界内で高く評価されます。
総合旅行業務取扱管理者の試験内容
試験は以下の4科目で構成されています。
試験科目 | 配点 | 内容 |
---|---|---|
旅行業法令 | 100点満点 | 旅行業法に関する基礎知識を問う分野。 |
約款 | 100点満点 | 旅行業約款に関する詳細な理解が求められる分野。 |
国内旅行実務 | 100点満点 | 日本国内の観光地情報に加え、JR運賃や料金計算が重要なポイント。 効率的なルート設計も問われます。 |
海外旅行実務 | 200点満点 | 航空券の料金計算や発券が頻出テーマ。 観光地情報のほか、ビザやパスポート手続きに関する知識も必要です。 |
試験に合格するためには、各科目で60%以上の得点を取る必要があります。一つでも60%未満の科目があると不合格となるため、バランスよく学習することが重要です。
総合旅行業務取扱管理者の試験概要
以下に、令和6年度(2024年度)の総合旅行業務取扱管理者試験に関する詳細情報を表形式でまとめました。
項目 | 詳細 |
---|---|
試験日 | 例年10月の第4日曜日 (令和6年は10月27日) |
試験時間 | 科目ごとに異なります。詳細は受験票でご確認ください。 |
試験会場 | 全国主要都市に設置。受験票に記載されます。 |
受験手数料 | 6,500円(消費税非課税) |
出題形式 | 四肢択一形式(マークシート方式) |
受験要件 | 年齢、性別、学歴等の制限なし |
受験申込期間 | 2024年7月上旬~8月上旬(予定) |
合格発表日 | 試験実施から約2か月後(令和6年は12月12日) |
※試験会場は受験申込者数の状況により、追加・変更される場合があります。詳細は受験票および公式ウェブサイトでご確認ください。
最新の情報や詳細は、一般社団法人日本旅行業協会(JATA)の公式ウェブサイトをご確認ください。
総合旅行業務取扱管理者の免除科目
総合旅行業務取扱管理者試験には免除科目があります。
例えば、国内旅行業務取扱管理者試験に合格している方は、「約款」と「国内旅行実務」の科目が免除となります。
免除条件や適用科目については細かい内容が多いため、別記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
総合旅行業務取扱管理者の受験者数と合格率
総合旅行業務取扱管理者試験には、いくつかの受験区分があります。
その中でも代表的な区分である「総合旅行業務取扱管理者(免除なし)」と、国内旅行業務取扱管理者試験に合格している方向けの「国内旅行業務合格者(免除あり)」の2つについて、受験者数と合格率を以下にまとめました。
年度 | 受験区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
令和元年 | 総合旅行業務取扱管理者(免除なし) | 1,825 | 237 | 13.0% |
国内旅行業務合格者(免除あり) | 1,002 | 305 | 30.4% | |
令和2年 | 総合旅行業務取扱管理者(免除なし) | 4,086 | 756 | 18.5% |
国内旅行業務合格者(免除あり) | 3,008 | 1,162 | 38.6% | |
令和3年 | 総合旅行業務取扱管理者(免除なし) | 2,819 | 175 | 6.2% |
国内旅行業務合格者(免除あり) | 2,199 | 388 | 17.6% | |
令和4年 | 総合旅行業務取扱管理者(免除なし) | 2,064 | 278 | 13.5% |
国内旅行業務合格者(免除あり) | 2,004 | 715 | 35.7% | |
令和5年 | 総合旅行業務取扱管理者(免除なし) | 2,102 | 167 | 7.9% |
国内旅行業務合格者(免除あり) | 1,572 | 416 | 26.5% |
総合旅行業務取扱管理者試験は、免除なしの場合すべての科目を受験する必要があり、国家資格の中でもかなりの難関資格になります。
一方、国内旅行業務取扱管理者試験に合格している方は一部科目が免除されるため、比較的合格率が高くなる傾向があります。
国内旅行業務を先に受験したほうがいいか?
総合旅行業務取扱管理者試験は、事前に国内旅行業務取扱管理者試験に合格しておくことで一部科目が免除され、負担が軽減されます。
詳しいメリットや受験戦略については、こちらの記事をご覧ください。
総合旅行業務取扱管理者を取得するメリット
1. 国内外の旅行業務を扱える
国内旅行だけでなく、海外旅行商品の取り扱いが可能になります。
これにより、旅行業務の幅が大きく広がり、幅広い顧客ニーズに応えられるようになります。
特に、海外旅行の企画・手配や海外現地ツアーの運営にも対応できるため、国際的な観光業務での活躍が期待されます。
2. キャリアアップの必須資格
旅行会社で管理職や責任者としてキャリアアップを目指すなら、この資格が必須です。
また、独立して旅行代理業を開業する場合にも大きな強みとなります。
特に、法律や実務の知識を兼ね備えた資格保持者は、業界内で高く評価されます。
3. インバウンド需要への対応
近年、訪日外国人観光客(インバウンド)の増加により、多言語対応や国際観光業務の重要性が高まっています。
総合旅行業務取扱管理者資格を持つことで、外国人観光客向けツアーの企画・運営や、インバウンドビジネスにおける新たな事業機会を掴むことができます。
総合旅行業務取扱管理者の勉強方法
過去問の練習
業法、約款、実務に関する問題は、過去問を繰り返し解くことが合格への近道です。
過去問からは類似問題が出題される傾向があるため、反復練習を通じて出題パターンを理解することが重要です。
特に苦手な分野を集中して復習することで、効率的に得点力を向上させることができます。
JR運賃・航空券運賃計算
JR運賃や航空券運賃の計算問題は、慣れるまで何度も練習を繰り返す必要があります。
特に航空運賃計算はルールが複雑で、理解するまで時間がかかることが多いです。
近年は奇をてらった問題も出題されるため、本番で動揺しないように自信をつけておくことが大切です。
英語
試験に出題される英語のレベルはおおむね英検準2級程度です。
ただし、観光ガイドに関する内容に限られるため、全問を解く必要はありません。
過去問を繰り返し練習することで、半分程度の問題は対応できるようになります。苦手意識を持たず、着実に対策を進めましょう。
観光地
観光地に関する問題は、隙間時間を活用して対策するのがおすすめです。
地図や観光地の動画を視聴し、画像とセットで覚えると記憶に定着しやすくなります。
特に出題頻度の高い観光地を優先的に学習することで、効率よく点数を稼ぐことができます。
総合旅行業務取扱管理者の試験概要まとめ
総合旅行業務取扱管理者試験は、国内外の旅行業務を取り扱えるようになるだけでなく、旅行業界でのキャリアアップや信頼度向上につながる魅力的な国家資格です。
試験内容は幅広く、旅行業法令、約款、国内旅行実務、海外旅行実務の4科目で構成され、合格するためには各科目で60%以上の得点が必要です。
過去問を中心に勉強し、特にネックとなる航空運賃計算や英語対策に時間を割くことが、効率的な学習につながります。
また、観光地の知識は隙間時間を活用して地図や動画で覚えると効果的です。
総合旅行業務取扱管理者は、旅行好きの方にとって、楽しみながら勉強を進められる資格でもあります。
観光地を学ぶことで「ここに行ってみたい!」というモチベーションが生まれ、それが合格への原動力となるでしょう。
この記事を参考に、ぜひ目標を持って試験勉強をスタートしてください!